手塚治虫「火の鳥」と、愛媛・松山にある道後温泉がコラボレートした「道後REBORNプロジェクト」に関するトークイベントが、去る2月7日に東京・コレド室町1で開催された。
道後温泉本館が2019年1月15日より営業を続けながらの保存修理工事に入ったことに合わせ、オリジナルアニメーション「火の鳥“道後温泉編”」の制作などさまざまな取り組みを行なっている「道後REBORNプロジェクト」。道後温泉本館の北面では、クリエイティブカンパニー・ネイキッドが手がけたプロジェクションマッピング「道後温泉×ネイキッド MESSAGE-火の鳥、到来-」が展開されている。本日はネイキッドによるイベント「FLOWERS BY NAKED」内で、「FLOWERS BY NAKED 2020-松山・道後NIGHT-」として開催。アニメ「火の鳥“道後温泉編”」で大国主(おおくにぬし)と伊佐庭如矢(いさにわゆきや)役を務めたつるの剛士、手塚プロダクション取締役の手塚るみ子、ネイキッドのジェネラルマネージャー・中川伸作氏が登壇した。
手塚は「道後REBORNプロジェクト」について、「実際に現場に行ってみて感動もひとしお」とコメント。「何より素晴らしいのが、本館を覆うテントに施された装飾。高台から全貌が見られるんですが、火の鳥が道後温泉本館を包み込んでるような印象を受けました」と話す。つるのは「改修とか改装中って少し寂しいじゃないですか。でもそれが1つのアトラクションになり、寂しいどころか新たな楽しみとして皆さんが道後温泉の生まれ変わりを見られるというのは素晴らしいプロジェクトだと思います」と述べる。
なお2月21日からは、プロジェクションマッピングの第2弾「道後温泉×ネイキッド MESSAGE-子規と漱石-」がスタート。第2弾では「火の鳥“道後温泉編”」の第2話「子規と漱石」に合わせ、明治時代を生き抜いた4人と火の鳥の出会いが描かれるという。ネイキッドの中川氏は「第1弾でもちりばめていたマンガらしい擬音表現は残しながらも、新しい技巧を入れて、子規と漱石をもう少しフィーチャーしようかなと思います」と説明した。
イベントでは手塚が、手塚治虫作品のプロデュース業を始めたきっかけを話す一幕も。「父は生前、『マンガ家なんて死んでしまったら忘れられてしまうんだ。だから俺が死んでも3年は内緒にしとけよ』って言ってたぐらい、自分の作品を誰も読まなくなってしまうことを懸念して苦しんでるところがありました。その思いを受けて、父が亡くなった後でも次の世代に手塚治虫作品を知って読んでもらうことが、私たち子供がすべきことなんじゃないかなと思ったんです」と明かす。また手塚は「『道後REBORNプロジェクト』もそうですけど、手塚治虫作品が新たな表現で出ていくこと。それは手塚が生きてる間にはできなかったことですが、2倍、3倍にもなって次の世代に伝わっていくのはうれしいです」とコメント。つるのは「新しいものとして再生されて、手塚イズムが世の中に残っていく。手塚治虫先生自体が、火の鳥だったんだろうなと思います」と、“永遠の命”をテーマとする「火の鳥」になぞらえた。
最後につるのは「改めて、すごいプロジェクトに参加させていただいていることを実感しました。REBORN(再生)と言いながらも、新しいものができていってるような気がします。また100年後ぐらいに『道後REBORNプロジェクト』があったとして、アニメやプロジェクションマッピングに僕たちのストーリーが刻まれるのかなと思うと楽しみ」と期待する。中川氏は「プロジェクションマッピングの未来編、作っちゃいます?」とジョークを飛ばし、トークイベントは和やかに締めくくられた。
(c)手塚プロダクション/松山市 2020
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