2020年08月28日13時51分
【ロンドンAFP=時事】熱帯雨林に生息する鳴鳥は、干ばつを生き抜く助けとするために繁殖活動を抑制するとの研究結果が24日、発表された。(写真はマレーシアのキナバル自然公園に生息するアイイロヒタキ)
世界各地を襲う記録的な猛暑の長期化と、生息環境への人間の侵入によって生物多様性が脅かされている中、ますます過酷さを増すこの状況に生物種が適応できるかどうかは極めて重大な問題となる。
研究者らによると、干ばつにより、鳥たちは繁殖活動と自らの生き残りとの間のトレードオフに直面しているという。産卵してひな鳥に餌を与える活動には、餌がますます乏しくなる時でさえも余分なエネルギーが必要になるからだ。干ばつは、気候変動の影響で、発生頻度が高まると予想されている。
だが、英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジに掲載された研究論文では、調査対象とした鳴鳥の大半が、過酷な環境条件の中で新たな子孫を残すという離れ業を実現する代わりに、干ばつ期に繁殖活動を縮小させる方を選ぶことが明らかになった。
■長寿命の種ほど繁殖活動を鈍化
研究では、ベネズエラとマレーシアでの17年に及ぶ実地調査で得られた38種の鳴鳥に関するデータを使用した。調査期間には、それぞれの国で発生した干ばつの期間が含まれている。
調査の結果、繁殖活動がマレーシアの20種で平均36%、ベネズエラの18種で52%、それぞれ減少していることが判明した。
鳥の寿命が比較的長い種ほど、日照り続きの期間に繁殖活動を最大限に鈍化させていた。論文の共同執筆者で、米モンタナ大学のジェームズ・ムートン氏は、AFPの取材に「全般的に、干ばつ期に繁殖活動を大きく減少させる(すなわち、長寿命の)種は、成鳥の生存率の上昇がみられた」と語った。
「干ばつが原因で全ての種で生存率がある程度低下すると予想していたため、この結果は予想外だった」
比較的寿命が短い種の鳥は、繁殖活動をそのまま続けるか、ごくわずかに縮小させただけだった。短寿命の鳥は繁殖を抑制する余裕がより少ない可能性があると考えられる。
次に論文の執筆者らは、三つの異なる気候変動シナリオの下で、特定の種の鳴鳥がどのように存続する可能性があるかをモデル化した。
その結果、干ばつ発生頻度の上昇が調査対象の全ての鳥の個体数を減少させるものの、長寿命の種ほど回復力がより高いことがモデルによって推測された。
「熱帯性の鳴鳥の長寿命種の個体群は、干ばつの影響を軽減する能力がこれまで考えられていたより高い可能性がある」ことを今回の研究は示唆していると、ムートン氏は指摘した。
だが、干ばつは鳥の個体群にとって潜在的な脅威となると考えられる気候変動の一側面にすぎず、これらはその他のリスク、特に生息環境の劣化や断片化などとともに作用すると、ムートン氏は注意を促している。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕
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August 28, 2020 at 11:51AM
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