オーストラリア原産の飛べない鳥、エミューの飼育で地域おこしを目指す日本エコシステム(福岡県筑紫野市)は今年度、離島などでの飼育の可能性を探るテストに着手。さらに大阪大学などとともに、エミューを使った新型コロナウイルスのワクチン製造実験を進める。(九州総局 永尾和夫)
■体重50キロにも
エミューは成長すれば体高約1・5メートル、体重は50キロにもなる。オーストラリアをはじめ、米国、中国、カナダなどで飼育されているが、国内では東京農大が北海道で飼育している程度で、認知度はまだこれからだ。
同社はもともと、節電機器レンタル会社だったが、公益財団オイスカの役員も務める藤澤博基社長がエミューのことを知り、農家の高齢化により耕作放棄地が拡大する中山間地や離島の活性化に最適の家畜と思いついた。
平成26年に4羽を購入しオイスカ西日本研修センター(福岡市早良区)で試験飼育を始めた。その後、研究を重ね、人工孵化(ふか)の成功率を8割にまでアップ。28年に佐賀県基山(きやま)町の栗林にエミュー牧場を設け、今では400羽を飼育する国内有数の牧場となった。
■オイルは美容液
エミューは雑食で野菜くずや雑草もよく食べ、寒冷地にも適応するなど頑丈で飼育しやすいのが特徴だ。藤澤社長によると、肉は赤身で高たんぱく・低カロリー。鶏肉や牛肉の数倍の鉄分を含み、体重50キロの成鳥から肉10キロ、オイル10キロが取れるという。オイルは人間の脂肪によく似た組成をしており、美容液として製品化されている。また30年6月には、基山町ジビエ解体処理施設がオープンしたため出荷を開始。肉はハムなどに加工され、飲食店の新しい食材としても注目を集めている。
エミューは、ふんの臭いもなく、飼育している周辺ではイノシシの被害がないという。同社は今年度、佐賀県唐津市の沖合約1キロに位置する神集島(かからじま)の住民に8羽を委託。エミューが潮風に耐えられるかどうかを調べ、離島などでの飼育の可能性を探る。
また、大阪大などの研究機関と共同で無毒化した新型コロナウイルスをエミューに投与。食肉処理する際に出る血液からワクチンが製造できないか、実験に着手する。ワクチン製造には現在、鶏やウサギが使われているが、エミューは体が大きいため、低コスト化が期待されるという。大阪大の伊藤謙特任講師(薬学博士)を中心に他のさまざまなワクチン製造を含めた新しいシステム作りを目指す。
■産官学で連携を
エミューの肉や脂肪については、まだ解明されていない部分が多い。九州大農学部と連携し肉質・脂肪と餌との関係について実験中で今後、詳細を確認のうえ機能性食品の表示を目指す。
エミューの飼育数は全国でもまだ3千羽程度と少ないため、認知度が低く、制度上の制約も多い。各地にできたジビエ処理場では対応できない施設がほとんどだ。同社のエミュー事業は29年に農林水産省の総合化計画の認定を受けているが、生産・加工・販売を一体的に行う6次産業化までには、未解決の課題が多いという。
藤澤社長は「エミューは人懐っこく、飼育しやすい動物で、遊休地の土壌改良効果も大きく、疲弊した地域再生の切り札となり得るこれからの産業鳥。今後、肉や脂肪の素晴らしさを証明し、九州でブランド化したい」と抱負を語る。さらに「産官学が連携して、しっかりした推進体制を作ってほしい」と行政の支援を訴えている。
【用語解説】エミュー
ヒクイドリの仲間で、ダチョウの次に大きな鳥。2年ほどで成鳥になり、冬から春にかけ濃緑色の卵数十個を産む。卵を温めるのは雄の役目で、飲まず食わず約50日間抱卵、孵化させる。人工孵化では有精卵かどうかを見分けるのがポイントという。
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May 20, 2020 at 05:55AM
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