![](https://mbp-japan.com/elements/tokyo/profiles/educational-pj/profile/thumbnail_l_1574853127.jpg)
コロナ禍での経済的損失を補う目的で、政府が発表した108兆円規模の経済対策について、企業への貸し付けや助成金、補助金以外の、いわゆる個人(世帯)が受け取ることができる補償金は、現在のところ「収入が激減した世帯」に限られていて、その割合は全人口の20%程度、つまり5人に1人であるといいます。
このことにメディアやネットからは激しい政府批判の声があがっていて、日本が「なぜ欧米のように国民全員に一律現金給付ができないのか?」と疑問視する人々が圧倒的多数であるといえます。その元凶が財務省の「ケチ」な体質にあり、あくまでも財政規律を死守したいとする財務省が、たとえ国難とも言える「コロナ禍」にあっても「国民への無駄な給付はビタ一文行わない」として、政府の前に立ちはだかっているのではないかと国民は推測しているのです。
普段は安倍政権のかなり乱暴ともいえる諸政策を批判し、ツッコミを入れている私ですが、ここまで国民による政府批判が激しくなると、逆にその批判から距離を置いて、ここはひとつ政府の側に立って今次の経済対策を考えてみようじゃないか…、という誘惑が私を襲ってきます。元来からして「ヘソ曲がり」「ひねくれ者」ですから、たまには政府の味方をしてみようと思ったのです。
いろいろと問題がある霞ヶ関の役人ですが、「国民・国家」を常日頃から考え続けている「頭脳集団」であることには異論はないでしょう。その彼らからみて、今次のコロナ禍に対する各国の経済対策は、きっと日本の参考にはしていません。なにせ、どの国よりも急激なる高齢化が進み、同時に少子化を現在進行形で経験している日本には、その先行事例となるモデルが存在しないのです。
たとえば、国民全員に現金の一律給付を実施したとします。その目的は一時的に低下した国民の所得を補償し、国民生活を守る…、大げさにいえば「命をつなぐ」ことに尽きます。しかし仮にコロナ禍の終息まで半年要したとして、一時金として全国民に10万円を給付した場合、その10万円で半年を凌ぐことは不可能です。きっと国民はさらなる現金給付を求めて、場合によっては政府に対する示威運動を起こすかもしれません。
ところがよくよく考えて見ると、全国民の中には、「一時的に所得が低下した」とは言えない、つまり所得低下の埒外に置かれている人々が3分の1も存在するって事実を誰も紹介しませんね。この3分の1…、これが年金受給者です。この年金受給者の方々は、急激な物価の上昇でも起こらない限り「所得が低下した」人々にはなりません。確かに生活がカツカツな人も多数存在するのでしょうが、日本社会の過去から未来にわたって、おそらく最大額の年金給付を受けている人々…、それが現在の年金受給者です。つまり現在の日本社会には、満額の年金給付を受け取って文字通り「我が世の春」を謳歌している多数の高齢者が存在する…、そこに注目しなければことの本質はわかりません。
しかし、この3分の1の人々を現金一律給付から除外することができるでしょうか? それは無理に決まっています。だってこの3分の1の人々こそが、現政権の強固な支持母体なんですからね。彼らを不機嫌にさせるような政策なんか打ち出せるわけがないのです。おまけにこの世代の方々は選挙への関心が高いので、ヘタをすれば次期国政選挙で簡単に政権が吹っ飛んでしまうほどのパワーをもっていますから、現金一律給付からこの人々を除外する「論理的根拠」はあっても、「情緒的根拠」からそれを断行することはあり得ないのです。
であるならば、この3分の1の方々の機嫌を損ねない状態で、それでも「生活がままならない」…、つまり本当に生活が苦しい「コアな人々」を炙り出して、そこの層に手厚い補償をし続けた方が合理的です。思いっきり財務省の肩をもてば、彼ら役人は日本独自の社会構造と、その社会構造を取り巻く、それぞれの「階層」や「年齢層」が抱く「国民感情」というものを、きっと知っています。だからヘタに現金一律給付などという「カッコイイ」政策を実施したとて、それを実施し続けた後の財政赤字と、そこからもたらされるであろう未来の緊縮財政を経験した時、いずれ年金受給者に対する若年層からの「妬み」や「不公平感」が巻き起こるであろうことを、たぶん役人は危惧しているのではないか…、これが私の見立てです。
本当に生活が苦しい人々…、つまりコロナ禍によって所得が激減した人々を正確に炙り出すこと自体が難しく、しかも時間がかかる…、今はスピード感が大切なんだ…、と主張する人々もたくさんいます。確かに生活が苦しい「コアな人々」には、一日も早い現金給付が必要でしょう。そのための申請手続きは簡素化するべきであろうし、多少の誤差が生じても、自治体レベルで大胆な救済措置を行うべきではあります。それには反対しませんし、むしろ同意します。
しかし「手続きに時間がかかる」…、このことにも実は隠された重要な意味が潜んでいると私はみています。外出自粛要請下にあって、大学が休校になったことで多くの学生が一時帰郷したことがメディアに取り上げられ、その是非が問われていましたが、この学生達の「動き」が、実は経済的には重要なヒントを私たちにもたらします。つまり都内では休業が相次ぎ、アルバイトもままならない彼ら学生は、「食べられないから」帰郷したのであり、その動きは至って自然です。「食べられない」「生活ができない」のですから…、それは実家に逃げるしか方法はありません。
そうなんです。
現在の日本には、社会的なセーフティーネットはもちろんですが、個人的なセーフティーネトとしての実家を抱える若年層が数多くいます。少子化が続きましたから、高度経済成長期とは違って、1~3人程度の少数の子どもたちが「実家を頼る」ことは可能です。しかも、その実家はかなりの確率で経済的には頑強な鎧を纏っています。前述した年金受給者を筆頭に、21世紀の初頭までにまとまった資産を形成し、安心した老後生活だけではなく、子どもたちのためにもまとまった資産を遺すことができるであろう「実家」が、若年層を下から支えているんです。
つまり若年層は、「死ぬほど苦しくなる」前に、実家を頼ればいい…。具体的には実家の資金をあてにして一時的な苦境を克服すればいいのです。
私は、今次のコロナ禍がきっかけとなって、かなりの資産が親から子へと「自然贈与」されるとみています。こういう災厄をきっかけとして「いざというときに備えていた」資金が、家族内で再分配される…、所得の再分配が家族単位で進行します。そして、事実上の「生前贈与」に対して一時的に税務署も目を瞑ります。いちいちその贈与を捕捉して「贈与税」を課すなどというヤボなことはしません(そういうセンスが政治には必要なんですでね)。
政府(いや確信犯はやはり財務省)が、国民への一律現金給付をためらう理由を推測してみました。断っておきますが、この推測はあくまでも「財務省性善説」に立っての見立てです。もしもこの見立てが正しければ、日本は先進国の中では、最っも少ない経済的損失でコロナ禍を克服することができるでしょう。そしておまけに、その国難に乗っかって、懸案であった国民の経済格差を「生前贈与」というカタチで解消することができるかもしれません。
しかし同時に、最近の政府の動向をみていると、大衆迎合に陥りそうな気配も感じます。一時の国民からの「怒り」に負けて、簡単に一律給付などを宣言してしまいそうな…、そんなアベちゃんの雰囲気ですね。
"一律" - Google ニュース
April 15, 2020 at 09:27AM
https://ift.tt/2RTVdSL
コロナ禍による一律現金給付が実現しない理由。 - JIJICO
"一律" - Google ニュース
https://ift.tt/2uthy0Z
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
No comments:
Post a Comment