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Friday, November 26, 2021

高梨沙羅、勤務先クラレ上司が語る素顔「スーツで出社、ごく普通の女性」 デスクワークに新人研修講師も - スポーツ報知

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 スキージャンプ女子のW杯は、26日(日本時間27日未明)にニジニタギル大会(ロシア)で開幕。エースの高梨沙羅(25)が、22年北京五輪の頂点へ歩み始める。沙羅は13年に化学メーカーのクラレと所属契約を結び、18年6月からは社員として在籍。一貫してサポートを受けてきた。同社経営企画室IR・広報部の滝沢慎一部長(53)と村田知規主管(48)が、このほどスポーツ報知の取材に「社員」としての沙羅の素顔を明かし、今季の大舞台へ期待を込めた。

 沙羅は今年10月、札幌で行われた全日本選手権などの国内戦を3連勝。充実の仕上がりで、W杯転戦へ滑り出す。クラレで所属するIR・広報部の滝沢部長は「彼女は社員として仲間であり、我々が頑張る力になっている存在。本当に応援しています。今年は非常に調子も良いですし、また生まれ変わった彼女が見られるんじゃないか、と期待しています」と背中を押した。

 伯母が同社ベルギー法人に在籍する縁もあって、ソチ五輪前年の13年に所属契約。日体大卒業後の18年6月からは、社員として籍を置く。沙羅は入社時に「安心して競技に打ち込める環境を整えていただいた上に、社会人としても第一歩を踏み出す機会をいただき、本当にうれしい気持ちでいっぱいです」と感謝を込めていた。W杯転戦の長期海外遠征や合宿もあって機会は多くないが、年に数回程度、東京本社に出社。滝沢部長は「(出社時は)スポーツウェアではなく、スーツ姿で来ます。派手なこともなく、ごく普通の女性という感じですよ。シンプルで、違った一面です」と語る。

 社会人・沙羅の職務は、多岐にわたる。社内報に掲載するインタビューを受けたり、新入社員研修で経験談を話したり。国内各地の事業所を巡り、製造現場の知識を深めることもある。出社時には、書類整理や表作成、入力作業などデスクワークもこなす。IR・広報部の村田主管は「(沙羅が)来る時、特に社内で事前アナウンスはしません。だから突然、彼女が各部署に書類を届けに行くこともあります。社員たちも驚きつつ『来てたんだ~』と。最近は距離感も縮まった感じがあります」。毎月、紙の給与明細が発行され、ボーナスは年2回。世界最高峰のジャンパーは、一般の会社員と同じような顔も持つ。

 13年から沙羅のサポートを続けるクラレのこだわりは「競技者として、一番いい状態をつくること」(村田主管)。広告塔としての過度なCM出演など、競技外の負担が極力生じないように支えてきた。来たる北京五輪。大きすぎる期待は、重圧にもなる。「とにかく五輪を楽しんでくれ、と。そのことに尽きますよね」と村田主管。滝沢部長も「いい流れにはなっていると思うので、W杯から北京へ頑張ってほしい」と言葉を紡いだ。楽しみ、完全燃焼した先に目指す高みがあればいい。2人の“上司”の優しい目線も、きっと沙羅の力になる。(細野 友司)

 ◆株式会社クラレ 1926年、大原孫三郎が人造絹糸レーヨンを企業化することを目的に岡山・倉敷市に設立した「倉敷絹織株式会社」が前身。繊維事業を中心に展開し、70年から現社名。現在は樹脂やフィルム、化学品、人工皮革、活性炭、メディカル製品など多様な素材を製造。2020年12月期の売上高は5417億9700万円で、21年は6000億円を超える見通し。「ミラバケッソ」(未来に化ける新素材)をキャッチフレーズに、アルパカが登場するテレビCMでも注目された。

 ◆高梨 沙羅(たかなし・さら)1996年10月8日、北海道・上川町生まれ。25歳。小学2年で競技を始め、2011年2月に14歳でコンチネンタル杯を史上最年少で優勝。上川中―グレースマウンテンインターナショナル―日体大。五輪は14年ソチ大会で初出場。18年平昌大会の銅メダルは、日本女子の五輪ジャンプ史上初。昨季までに達成したW杯通算60勝、表彰台109度はジャンプ男女歴代最多。152センチ。

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