<東京オリンピック(五輪):バドミントン>◇29日◇女子ダブルス準々決勝◇武蔵野の森総合スポーツプラザ
前日の男子シングルスの桃田賢斗に続き、メダルが有力視された日本選手の敗退の連鎖が止まらない。女子ダブルス準々決勝で、世界ランキング1位の福島由紀(28)広田彩花(26=丸杉Bulvic)組が中国ペアに、同2位の永原和可那、松本麻佑組(北都銀行)は韓国ペアにそろって逆転負けした。男子ダブルスでは園田啓悟、嘉村健士組(トナミ運輸)に、遠藤大由、渡辺勇大(日本ユニシス)組も敗退。また、混合ダブルスの渡辺勇大、東野有紗組(日本ユニシス)は準決勝で敗れ、30日の3位決定戦へ回った。
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10-20。「フクヒロ」ペアはマッチポイントを握られても笑っていた。中国ペアの強打が飛ぶ。広田が受けきれず、初めての五輪はあえなく終わった。福島から頭をなでられ「痛かったと思うけど、最後までやり切ってくれてありがとう」と伝えられると、広田の目からは涙があふれ出た。
6月の代表合宿で広田は右膝前十字靱帯(じんたい)に大けがを負った。「五輪に出られないかも」と福島に謝罪した。「申し訳ないとか思わなくていいから」との言葉をもらい、出場を決意した。広田は「最後まで楽しんでやる」と決めて試合に臨んでいた。
「動ける範囲は狭まっていた。自分が狙われるのは想定内」だった広田だが、予想以上に攻められた。ラリー中、自分だけが拾い続けるシーンも。曲げ伸ばしできない足をかばいながら、必死に羽根を追いかけた。いつもの縦横無尽に前に飛び込んでいく動きはできず、福島にカバーしてもらった。「作戦も1カ月練ってきた。やってきたことは出せた」。ネットインで何度も決められ、運も味方しない中、3ゲーム計79分を戦い抜いた。
周囲の期待もある中、2人は金メダルよりもコートに立つことに幸せを感じた。福島は「ここにいることが奇跡。痛かったと思うけど、最後まで頑張ってくれた」。広田も「痛みはあったけど、最後まで諦めずにやろうと思っていた」。今後については「休んで考えたい」。膝の手術を受け、治療に専念するという。世界1位の力を見せられなかったフクヒロだが、最初から最後まで笑顔で戦い、さわやかにコートを去った。【松熊洋介】
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