シーズン途中で期限付き移籍先のクラブを変え、新天地ヘタフェですでに鮮烈デビューを果たしている日本代表MF久保建英(19)が18日、オンライン形式で行われた入団会見に臨んだ。 左胸にヘタフェのエンブレムが刻まれたジャージー姿で登壇した久保は、クラブの公式ウェブサイトや公式ツイッター(@GetafeCF)でも公開された映像のなかで、流暢なスペイン語で「このクラブとの契約を可能にしてくれた、すべての方々に感謝しています」と切り出した上で、今シーズンから加入していたビジャレアルを約5ヵ月で退団し、新たにヘタフェへ加入した理由を説明した。 「僕はまだ若いので何よりも出場時間を、自分がサッカー選手であると感じられることを必要としていました。環境を変えた理由はそれ以外にありません。入団を決めた理由はいろいろとありますが、他にもオファーがあったなかでどこよりも僕に興味をもってくれて、信頼を寄せてくれたクラブがヘタフェでした。だから僕はヘタフェを選び、いまこの場にいます」 久保が自分のなかで定める指標では、サッカー選手であると感じられることとは、イコール、どれだけ長くピッチの上でプレーしているかにかかってくる。ビジャレアルでは9月の開幕節から13試合連続で出場するも先発はわずか2度で、出場時間は299分にとどまっていた。 迎えた2020年の最後の3試合を、久保はピッチに立つことなく終えている。そして、今年最初の一戦となった2日のレバンテ戦では、初めてベンチ外になった。ビジャレアルを率いるウナイ・エメリ監督はレバンテ戦後の会見で、昨年の大晦日に設けた話し合いの場で「このクラブに残りたいのか、それとも本当に退団したいのかを聞くと、タケは退団を求めると言った」と明かしている。
49歳のスペイン人指揮官が「本当に――」とあえて念を押したのは、久保の移籍をめぐる報道が数多く飛び交っていたからだ。ヘタフェへの入団会見では、この点もスペインのメディアから問われた。シーズン途中での異例の再移籍は、久保の保有権をもつレアル・マドリードの意思なのか、と。 「いまの僕はヘタフェに集中しているので、過去のことについては話したくありません。ただ、代理人を通じてヘタフェという選択肢があることを知り、僕はオファーをすごく気に入りました。それから話し合いをスタートさせて、素早くまとまったことでここにいる、ということです」 久保の将来性に期待をかけ、昨シーズンのマジョルカに続いて武者修行させているレアル・マドリードは、ビジャレアルで直面した苦境を気にかけていたとされる。ヘタフェは同じマドリード州にあり、マドリード市街地から南へ15kmほどの場所にある。レアル・マドリード側の目に留まりやすいからなのか――という質問も、久保は遠く離れた南部の自治州の名前をあげながら笑顔でかわした。 「それは僕の入団とは関係ありません。ヘタフェがアンダルシアだったとしても入団していました」 ヘタフェでのデビュー戦となった、日本時間11日未明のエルチェとのラ・リーガ1部第18節は、久保をして「非常に稀な遠征」と言わしめるなかで行われた。約半世紀ぶりにスペインを襲った大雪の影響で、同8日の加入決定から一度も全体練習ができないまま敵地へ向かったからだ。 試合は1-1のまま突入した後半に、エルチェの選手が2枚目のイエローカードを受けて退場する。数的優位に立ったヘタフェのホセ・ボルダラス監督は同19分に最初の交代カードを切り、文字通りのぶっつけ本番で久保を投入する。歓喜のシーンが訪れたのはわずか5分後だった。 マジョルカ時代に圧倒的な存在感を放つなど、得意とする中盤の右サイドでボールを受けた久保が中央へカットインし、斜め45度の位置から素早いモーションで利き足の左足を振り抜いた。強烈なシュートは相手キーパーにかろうじて防がれたが、こぼれ球をFWハイメ・マタが押し込んだ。 同39分には再び右サイドから絶妙の浮き球のクロスを供給。反応したFWアンヘル・ロドリゲスが倒されて獲得したPKをロドリゲスが決めて、4試合ぶりの公式戦白星を3-1の逆転劇で飾った。
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