阪神は22日、ロッテを自由契約となったチェン・ウェイン投手(35)の獲得を発表した。推定年俸は200万ドル(約2億1000万円)で、2年契約とみられる。背番号は14に決まった。日米通算95勝左腕の獲得は今オフの新助っ人補強第1弾だ。今年9月に加入したロッテでは4試合で0勝3敗に終わったが、防御率2・42の安定感。補強ポイントの左腕先発に厚みを出し、16年ぶりのリーグVへ強固な先発陣を形成する。

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虎にとって大きな意味を持つ、先発左腕のチェン獲得が正式発表された。元中日で大リーグでも活躍したチェンは今年9月、ロッテに電撃入団。白星こそつかなかったものの、4試合に先発し、すべてクオリティースタート(6回以上自責点3以下)をクリアするなど好投(防御率2・42)。安定感あるサウスポーの動向を注視していた阪神はロッテの保留選手名簿を外れ、自由契約選手として公示されると速攻でアタックし、複数球団との争奪戦を制した。

阪神の今季先発陣の防御率3・38は、セ・リーグ2位と屈指の力を誇る。ただ、先発左腕をみると、2年間在籍したガルシアがすでに退団。新たに投手キャプテンとなった岩貞は来季も中継ぎ起用が基本線。今季自己最多5勝を挙げた高橋がいるが、過去にシーズンを通じてローテを守った経験はなく、ほかにはベテラン岩田稔やドラフト2位伊藤将に期待がかかる。西勇、秋山、青柳、藤浪、ガンケル、大筋合意している新助っ人アルカンタラら先発候補の右腕に加え、左腕がさらに充実すれば、投手王国も夢ではない。

チェンは04年2月、中日に入団。09年には防御率1・54で最優秀防御率のタイトルを獲得すると、10年には自身初の2桁となる13勝を挙げた。NPB通算36勝でメジャーでも通算59勝。日米通算95勝と実績は文句なしのサウスポーは「阪神タイガースの一員になることができ、とてもうれしいです。タイガースに入団することを決めた1つの理由は、セ・リーグは自分のプロ人生のスタートラインであること。メジャーに挑戦してからもずっと、いつかこの懐かしい場所に戻って再びプレーすることを願っていました。そして阪神球団の誠意、素晴らしい環境に感動しました。阪神ファンのみなさんから、ずっと応援してもらえるように、優勝目指して頑張ります」とコメントした。

外国人補強に関しては今オフ第1弾。球団は新助っ人に関して、KBOで今季本塁打と打点の2冠ロハスと、20勝アルカンタラと大筋合意している。また、1度阪神の保留者名簿から外れたものの残留濃厚となっている守護神スアレスを含め、いずれも年内の正式合意を目指しており、悲願Vへの態勢を整える。

◆阪神の先発事情 今季開幕投手を務め、チームトップタイの11勝を挙げた西勇が軸。同じく11勝の秋山、2年連続で規定投球回に到達した青柳、先発復帰する藤浪らの名前が挙がる。左腕では高橋やベテラン岩田稔に、ドラフト2位の伊藤将が中心。チェンに加え正式合意間近のアルカンタラの新外国人勢が加入。来季も助っ人8人態勢になる見込みで、外国人枠争いを勝ち抜く必要もある。

◆チェン・ウェイン(陳偉殷)1985年7月21日生まれ、台湾・高雄出身。国立台湾体育学院在学中の04年2月に中日入団。2年目の05年に1軍デビューした。06年に左肘を手術し、07年は育成選手契約。08年支配下復帰。09年には4完封を記録し最優秀防御率。12年にオリオールズへ移籍。12年地区シリーズではイチローらのヤンキースに勝利。16~19年マーリンズを経て、今季はマリナーズとマイナー契約を結び、6月に自由契約。9月末にロッテへ入団し、9年ぶりに日本球界復帰。183センチ、90キロ。左投げ右打ち。