旧優生保護法下の強制不妊手術で、大阪地裁は同法を「違憲」と断じたのに、国への賠償請求は「二十年の除斥期間が過ぎた」と退けた。原告には事情があった。「一律二十年」の判断は疑問だ。
原告は、聴覚障害のある夫妻と知的障害のある女性で、三人とも高齢者。夫妻の妻は一九七〇年代、女性は六〇年代に不妊手術を受けさせられた。
同種訴訟の判決は三件目。旧優生保護法への違憲判断は二例目だが、今回は憲法一三条(幸福追求権)に加えて同一四条(法の下の平等)にも違反すると断じ原告側から一定の評価は得た。
しかし、原告三人への賠償請求は棄却した。最大争点だった「(旧民法の規定で請求権が消滅する)二十年の除斥期間はいつ始まるか」について、今回もまた、「起点は(四十年以上前の)手術時」と判断したからだ。
判決は「原告らは(同種提訴が相次いだ)二〇一八年まで国家賠償を求める手段があると認識しておらず、原告らを責められない」とした。さらに「除斥期間が過ぎ、賠償請求権が失われる結果を受け入れ難いとする心情は理解できる」とまで寄り添った。
なのに、除斥期間の規定は「被害者側の認識のいかんを問わず、画一的に定めたと解され、例外を認めることは相当ではない」と結論づけた。国の法律によって人間の尊厳を失わせる手術を受けさせられた原告らに対し、あまりにしゃくし定規の判断だ。目の前で苦しむ人たちを救済してこその司法ではないのか。
旧優生保護法は「不良な子孫の出生防止」を目的に一九四八年、議員立法で制定された。九六年に「強制不妊手術」の条項が削除されて「母体保護法」に改正されるまで、障害者ら約二万五千人が不妊手術を受けさせられ、ほぼ半数が存命という。一切知らされずに手術を施された例も多かった。
昨年、一人当たり三百二十万円の一時金を支給する救済法が成立したものの、これまでに支給が決まったのはわずか八百件余り。手術記録の乏しさから被害者特定が難しく、名乗り出にくい被害者側の心理もあるとみられる。
今年四月施行の改正民法では、賠償請求権を二十年で一律に消滅させず、期間の一時停止などが可能となり、救済の幅が広がった。二〇〇〇年四月以降の不法行為が対象で、今判決には適用されなかったが、今後、改正民法の趣旨を踏まえた柔軟な判断を求めたい。
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