<自分よりもはるかに体の大きな鳥を頭から食べる禍々しいクモ>
ソーシャルニュースサイトのレディットに、クモが鳥を食べる様子を捉えた動画が投稿された。約1分の動画には、タランチュラが自分より大きい鳥(イエミソサザイ)を食べるおぞましい様子が映っている。
投稿者は、このクモを「ルブロンオオツチグモ」だと思っていたようだ。ルブロンオオツチグモ(別名ゴライアスバードイーター)は、全長およそ30センチ、体重が最大170グラム程度と世界で最も重量級のクモだ。だがレディットのほかのユーザーたちから、動画に映っているのはタランチュラの一種だと指摘する声があがった。
フンボルト博物館(ドイツ最大の自然史博物館)でクモ形節足動物の研究を行っているジェイソン・ダンロップは本誌に対して、問題の動画に映っているのはピンクトゥータランチュラ、「あるいは少なくともそれにきわめて近い種」だと思われると語った。
スミソニアン国立動物園と保全生物学研究所によれば、ピンクトゥータランチュラは森の中に生息している。メスは全長およそ12センチ、オスは全長およそ9センチとメスよりもやや小さい。
消化液を注入して溶かして食べる
ピンクトゥータランチュラは、体が黒くて毛が多く、脚先がほんのりピンク色なのが特徴だ。口の近くに4本の付属肢があり、このうち2本に毒牙がある。残りの2本は爪と触覚の役割を果たしている。南米北部の熱帯雨林に生息し、積極的に餌を求める捕食者で、一般にはトカゲやカエル、ネズミのような小型脊椎動物を捕まえて食べている。
ダンロップは、タランチュラは一般に鳥を食べることはないが、例がない訳ではないと語った。彼は投稿映像に映ったタランチュラについて「飲み込めるものなら何でも食べただろう」と指摘した上で、こう続けた。「消化液を逆流させて獲物に注入し、液状に溶かして飲み込み、骨や羽など残った部分を捨てる。それがタランチュラのやり方だ」
タランチュラが鳥を食べるという考え方が知られるようになったきっかけは、ドイツ人の自然科学者マリア・シビーラ・メーリアンの版画だった。彼女が1705年に出版した『スリナム産昆虫変態図譜』の中に、ピンクトゥータランチュラがルビートパーズハチドリを食べる様子を描いた版画が含まれていたのだ。
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September 10, 2020 at 12:05PM
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