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小笠原の島々で、海鳥が生態系のパーツとしてどのような機能を持ってきたのか。
川上さんの近年の研究のひとつの軸はそのあたりにあって、その成果が島の生態系保全に役立つ。そんな流れを見てきた。
でも、川上さんと話していると、なにかこういったまとめ方が一面的じゃないかと思うことしきりだ。飄々としてクールな語り口の中に、時々、研究がおもしろくてたまらないという熱がほとばしる瞬間がある。ぼくが感じた範囲では、そんな時の川上さんは、保全の基礎となる実学としての研究をはみ出して、単純に、この世界の背後にあることわりを理解したいという強い欲求にもとづいて語っている。それは魂の深いところから発露する情熱の形だ。
ということは、川上さんは、おそらく、子どもの頃から生き物好きで、野山を駆け回っていたのだろう。そのように思う人が多いだろうが、しかし、違う。そもそも、虫が嫌いだし、偶然、大学の生物サークルに入るまで、「鳥」もちゃんと見たことがなかった。こういったことは、ベストセラーになった抱腹絶倒の科学エッセー『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』に書かれているので、ここでは軽く触れるだけに留める。
ぼくが直接うかがった中で、印象深かったのは、川上さんが生物サークルでバードウォッチングをするようになった後から研究者になる過程で起きた変化だ。最初は「スタンプラリーをするように」「ポケモンカードを集めるみたいに」、見た鳥のリストを伸ばしていくことに楽しみを見出していた時期があったものの、その後、卒論のために絶滅危惧種メグロの研究を小笠原の母島で始めて以来、視野ががらりとかわったという話だ。
まずその経緯は──
「学部生時代は林学の学科だったんですが、生物サークルで鳥を見てきたことから、鳥についての卒論を書きたいと思って樋口広芳先生という鳥類の先生に相談しに行きました。すると『川上くん、小笠原でメグロの調査をしないか』って言うんです。メグロというのは、特別天然記念物にもなっている鳥で、小笠原で一番保全上の価値が高いとされていました。樋口先生自身が10年前に調査して、その後にどうなっているか調べる必要があったんです。僕は小笠原ってどこにあるのかも知らなかったんですけど、予算もあるっていうし、すぐに『行きます』と言って行きました。6カ月間、かすみ網でメグロを捕獲して足輪をつけて、放して観察して、卒論はかなり基礎的なデータを取るだけで終わってしまったんですが、修士でも研究を続けて、博士課程に入ったところで森林総研に入って今に至ります」
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August 24, 2020 at 01:00AM
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飛べるのになぜ離れない 鳥類学者、島で知った面白さ|U22|NIKKEI STYLE - 日本経済新聞
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