3月下旬、50年近く続くひとこま漫画の仲間たちとの展覧会が京都で開かれ、その催しとして「ボクの好きな漫画家」のタイトルでトークショーを企画した。だがコロナ禍のためライブは控え、事前に録画したものを会場で上映することに。収録の日はみんな思い思いに好きな漫画家の本や雑誌を持ち込み、発表した。
私は直前に、手塚治虫の漫画表現テクニックを解説した本を書店で見つけ、これをネタにと衝動買い。しかし考えてみれば、手塚の描画テクニックというより筋立ての素晴らしさが好きだったわけで、話した内容もストーリーの魅力について。『火の鳥』『ブラック・ジャック』『陽だまりの樹』や遺作の『ネオ・ファウスト』まで、生命をテーマにした奥の深い語りかけに対しての感動…なのだから。
話しながら、かつて読んだ大長編『火の鳥』を思い出していた。筋立ての記憶はほとんどなく、いくつかの印象的なフレーズや場面が脳裏をよぎるだけ。漫画展が終了後、屋根裏の納戸からすっかり色の変わった『火の鳥』を見つけ出し、数十年ぶりに読み直している。
「黎明編」に始まり、順序は気にせず「未来編」「望郷編」「乱世編」…。昔読んだころの印象とは違う新しい思いが生まれてきている。不死の火の鳥をめぐる古代から未来まで時空を超えた壮大な物語をいかに読むか。死と再生、歴史、宗教、科学、人間、善と悪…いくつものテーマが読み取れる。
とりわけコロナ禍の今は失われる命や命を取り巻く人々の思いに照らしながら読んでいる。『火の鳥』には手塚漫画に一貫して流れる生命に対するメッセージがより強く感じられ、老脳にも新鮮に響くようだ。
大阪市北区 國府弘昌 73
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