三菱UFJ銀行は、今年の春闘(春季労使交渉)において一律に賃金を引き上げるベースアップの交渉をやめる方針を固めました。トヨタ自動車も従来の方針をあらため、人事評価に応じて配分を決めるやり方について労働側が受け入れる方針を示しています。戦後の組合活動の歴史を考えると、極めて大きな変化といえますが、背景には何があるのでしょうか。
雇用を守る代わりに賃金妥協か
これまで日本の労使交渉は、一律の賃金引き上げであるベースアップ(ベア)を軸に行われてきました。その理由は、日本の労働組合は職種ではなく会社単位になっており、企業人事も終身雇用と年功序列が基本となっていたからです。この慣行は戦前には存在しておらず、そのほとんどが太平洋戦争による国家総動員体制の確立によって政府から強制されたものでしたが、戦後の大量生産がこの体制にマッチしていたことから、戦時体制が今の時代まで継続してきたというのが実態といわれています(1940年体制)。
しかし大量生産の時代が終わり、日本経済の成長も鈍化してきたことから、こうした人事体制が時代に合わなくなってきました。一方で、年金財政の悪化で十分な年金を支払うことが難しくなってきたことから、政府は企業に対して70歳までの雇用継続を求めています。企業の側からすると、70歳まで社員を雇うことになると、総人件費が増加しますから、その負担は計り知れません。全社員に対して一律の昇給を実施していては、人件費が利益を圧迫してしまいます。
昨年、トヨタ自動車の豊田章男社長や経団連の中西宏明会長など経済界のトップが相次いで終身雇用制度の限界について言及したほか、経団連は今年の春闘の基本方針に従来型雇用制度の見直しを盛り込みました。これは、従来の雇用体系は維持できないという企業側からの明確な意思表示であり、トヨタや三菱UFJ銀行の労働組合は、こうした企業側の意向を受け入れ、雇用を優先する代わりに賃金については大幅に妥協したことを意味しています。
多くの企業に波及する可能性
会社側の評価で賃金が決まるというやり方について、労働組合が受け入れるのは容易ではなかったと思われます。しかしながら、このままでは人件費が増大する以上、社員全員を昇給させていては、会社がつぶれてしまうという現実について、組合側も理解せざるを得なかったというのが本当のところでしょう。
トヨタや三菱UFJ銀行といった主力企業がこうした体制にシフトした以上、国内の多くの企業がベアの放棄に動く可能性が高まってきました。これからの時代は、ますます平均賃金が上がりにくくなりそうです。
(The Capital Tribune Japan)
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