韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長は18日、元徴用工問題解決のための法案を国会に提出した。日韓両国の企業と個人の寄付で「記憶・和解・未来財団」を設立したうえで、日本企業を相手にした賠償請求訴訟で勝訴した元徴用工を含め、強制動員被害者の「精神的被害に対する慰謝料」を支給する内容。法案は、市民団体の要請を受け、訴訟当事者以外の軍人・軍属にまで救済対象を拡大した。
提案理由には「日韓両政府が懸案に対し包括的な交渉を行い、相互に譲歩できるよう大義名分を提供する」と記されている。また、日本企業を相手にした損害賠償請求訴訟が相次いでいることを念頭に「司法的な手続きよりも、民間レベルで和解による解決を目指す」としている。
最高裁判決で勝訴が確定した原告は、日本の被告企業の韓国資産差し押さえの手続きを進めているが、法案によると、慰謝料を受け取った原告は「民事上の強制執行の権利を放棄した」とみなされる。また、係争中の原告は訴訟取り下げを条件に慰謝料支給を受ける。訴訟を起こしていない強制動員被害者は、裁判請求権を失う。
原告団の資料などによると、日本企業を相手にした元徴用工訴訟で勝訴が確定した原告は3件32人。係争中の原告は1000人を超える。一方、これまで韓国政府の「強制動員被害真相究明委員会」で認定された元徴用工や軍人・軍属は約21万8600人にのぼる。【ソウル堀山明子】
2019-12-18 08:16:00Z
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