3週間余りで6回を数えた北朝鮮による飛翔(ひしょう)体の発射はミサイル技術の進展に直結し、日本の安全保障上の脅威が増すことを意味する。
短距離弾道ミサイルであれば国連安全保障理事会決議違反は明白だが、政府は16日も北朝鮮を非難せず。自民党内では、政府の煮え切らない態度に不満が高まっている。
「わが国の安全保障に影響を与えるようなものではないことは確認されている。引き続き十分な警戒態勢の下、米国などとも連携しながら国民の安全を守るため万全を期していく」
安倍晋三首相は16日午前、首相官邸に到着すると北朝鮮の飛翔体発射について記者団にこう述べた。
岩屋毅防衛相は防衛省で記者団に「北朝鮮がミサイル関連技術の高度化を図っているのは、わが国や国際社会にとって極めて深刻な課題だ」と懸念を示した。
しかし、岩屋氏が防衛省に姿を見せたのは飛翔体発射から約2時間半が経過した午前10時半ごろ。首相官邸での台風10号対策の関係閣僚会議に出席した事情もあるが、情報収集や分析を進める防衛省の幹部会議は岩屋氏の登庁まで開かれなかった。首相も午後には静養先の山梨県鳴沢村の別荘に移動した。
一方、自民党は16日午前に党本部で北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部(本部長・二階俊博幹事長)の会合を開いた。二階氏は「政府や米国は表面上は静観の体(てい)だが、(北朝鮮が)着々と(ミサイルの)性能実験を進め、完成度を高めていると判断せざるを得ない。このことは看過できない」と述べ、緊張感のない政府の対応を疑問視した。
政府が北朝鮮批判を抑えているのは、日本人拉致問題の早期解決に向け、首相が金正恩朝鮮労働党委員長との対話を模索していることや、拉致問題解決に全面的な協力姿勢を示すトランプ米大統領が金氏との対話継続を重視していることへの配慮からだ。
ただ、会合では「トランプ氏に気を使う部分もあるかもしれないが、政府として毅然(きぜん)とした態度を取るべきだ」との意見が相次ぎ、「政府が発射を容認していると国民に見られてしまう」との声も出たという。
ある幹部は、「発射されるたびに日本側は会議を開くだけでいいのか、と言ってやる」と政府を突き上げる考えを示した。
対米関係、国連安保理決議、自民党、世論−。政府は、さまざまな要素のはざまで対応に苦慮しているのが実情だ。
(原川貴郎、石鍋圭)
2019-08-16 09:33:00Z
https://news.livedoor.com/article/detail/16937551/
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