神さまが鳥の中の王さまを決定するというお触れを出した。どの鳥が選ばれるか。カラスはこのままでは自分は選ばれないと考えていた。自分の黒い羽ではどうしたって、目立たない▼カラスはあることを思いつく。あちこちを歩き回り、他の鳥たちが落とした羽根を拾い集める。そして、それを全身に貼り付ける。王選びの日、あまりの美しさに神さまはカラスを鳥の王さまに選ぼうとした。イソップ寓話(ぐうわ)の「黒丸烏(からす)と鳥たち」である▼世界をけん引したファッションデザイナーの高田賢三さんが亡くなった。八十一歳。その訃報にイソップのおしゃれなカラスを思い出している▼一九六四年、パリ行きを決意した高田さんは恩師のアドバイスに従って飛行機ではなく船でパリを目指すことにした。アジア、中東、地中海。それぞれの地域で人々の暮らしや自然を見て回った▼それは高田さんにとって世界の美という羽根を拾い集める旅だったのだろう。旅で受けたインスピレーションはほどなく、高田さんの個性としてパリで花開く。カラフルな色やエスニック(民族調)の風味。日本の着物も含め、世界中に落ちていた羽根を融合させたデザインが世界の目をひきつけた▼イソップのあのカラスは他の鳥から羽根を奪い返され、元のカラスに戻ってしまった。高田さんの美しい羽根は完全に自分のものとなり、永遠に輝き続ける。
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