ほとんどの鳥には特有の鳴き声があり、それはあまり変わることはない。そのため、野鳥観察者は鳥を見なくても、鳴き声で種を認識できる。しかし、新たな研究によると、鳥の鳴き方が広範囲で急に変わることが明らかになった。
スズメ目のノドジロシトド(Zonotrichia albicollis)は、カナダをはじめ、北米に広く生息する小さな鳥だ。21世紀になる前、ロッキー山脈の西側のブリティッシュ・コロンビア州で、ある歌の節を3音を2音に変えて鳴くものが現れた。その歌は2000年からの20年間で、カナダ西部から中部にかけて広がり、今ではカナダのほとんどのノドジロシトドが新曲を歌っている。
この論文は、7月2日付で学術誌「Current Biology」に発表された。鳥の鳴き声は、ゆっくりと進化することはあるが、これほど急速な変化はこれまで聞いたことがない、と論文の筆頭著者であるケン・オッター氏は言う。
「こんなふうに広がった例を、わたしたちは知りません」
歌が西から東へと広がっていくにつれ、鳥類学者達は新しい歌の何がそんなに鳥たちを惹きつけているのか、この流行は続くのかどうか、疑問を抱くようになった。今回の発見は、一般の人々が鳥の鳴き声を投稿できるサイトを利用してもたらされた。こうしたデータベースのおかげで、見過ごしてきたかもしれない歌のパターンが明らかになりつつある。
「ここのノドジロシトドの鳴き方は変だ」
鳥の歌は、聞いていて心地いいだけではない。鳴き声には、鳥の健康や体調など、様々な情報が含まれている。他の鳥と同様、ノドジロシトドのオスは、歌で縄張りを主張し、メスを誘惑する。オスだけが歌う曲もあり、オスは成長初期の重要な時期にその歌を学ぶ。
ノーザン・ブリティッシュ・コロンビア大学で鳥の行動とコミュニケーションを研究しているオッター氏が、ノドジロシトドの鳴き声に何かが起きていることに最初に気づいたのは、1990年代後半のことだった。同氏は、ロッキー山脈のすぐ西にあるブリティッシュ・コロンビア州で、普段はカナダ東部でノドジロシトドの研究をしている仲間と一緒に、フィールドワークをしていた。
「私たちが歩き回っていると突然、彼がこう言ったのです。『ここのノドジロシトドの鳴き方は変だ』」。オッター氏はそれまで気づいていなかったが、確かに違う鳴き方だった。
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