鳥の卵に魅了され、半世紀にわたるフィールドワークの成果を「日本産鳥類の卵と巣」(まつやま書房)として自費出版した。写真600点以上、145種もの卵を網羅した研究書は日本では初。基礎データが少ない中、研究者らに注目される一冊だ。学術的価値はもちろん、「完璧な形」といわれる卵の魅力が詰まっている。(田口透)
鳥の巣探しが好きで、子どものころから地元の丘陵地帯を駆け巡っていた内田博さん(71)。そのまま鳥類の観察・写真撮影に進み、生態研究にのめり込んだ。「地味だがいちばん好き」というイカルチドリを中心に、カッコウが他の鳥の巣に卵を産み育てさせる托卵(たくらん)や、オオタカといったタカ類、ホトトギスなどの研究を続ける。
「鳥の生態屋」を自称し、アカデミズムには属さないアマチュアの鳥類学者だが、そのネットワークは広く、今回も全国の専門家が協力した。日本野鳥の会会長で立教大学名誉教授の上田恵介さんは、序文で「(内田さんは)的確に巣を見つけ出し、鳥に影響がないよう接近しデータを取った。(中略)鳥の巣と卵という、鳥の研究者にとって微妙な対象を扱うのに、彼以上に適したナチュラリストはいない」と高く評価した。
かつては十数メートルの木に登ることもあったが、今は最新の機材なども駆使し、鳥のストレスに細心の注意を払い撮影を行う。フィールドは地元の比企(ひき)丘陵や知人のいる長野県などが中心だが、長年の生態研究で個体数や種数の減少を痛感しているという。「(地元で)コサギは激減してしまったし、ホオジロもなかなか見つからなくなってしまった」
鳥類研究の先進地、英国などと比べ、日本はこの分野の基礎データがまだまだ少ないとされる。「(この本で)卵学が進んでほしい」という研究者からのエールもあり、まだ半数近く残る種の「卵と巣」の続編を目指す。
「卵は完璧な形といわれるように、本当に美しい。色、紋様、例えば托卵するカッコウなどの卵紋が地域によってどう変異するのか。もっと研究したい」と語る。
三月には、地元の動植物などを網羅した「東松山市の生き物 散歩道で出会える動植物」(東松山市教育委員会)もまとめたばかり。十六年にわたり市の文化財保護委員などとして年間二千枚もの写真を撮影し、実態を調査した成果が詰まっている。
<うちだ・ひろし> 埼玉県東松山市出身。東京農大中退。20代から鳥の生態調査を始め、比企野生生物研究所設立。同市の文化財保護委員。共著に「カッコウの子育て作戦」(あかね書房)「日本のタカ学」(東京大学出版会)。
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August 01, 2020 at 05:41AM
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