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Monday, June 15, 2020

白内障手術の慣例「認知症、一律お断り」が理不尽である事実 | 富裕層向け資産防衛メディア - 幻冬舎ゴールドオンライン

白内障手術の慣例「認知症、一律お断り」が理不尽である事実

高齢化に伴い、認知症を発症する人の割合が増えています。認知症と白内障を併発する可能性は決して低くありません。しかし、多くの医療機関において、認知症がある白内障患者の手術は「一律お断り」という現状があります。本連載では、年間1500件もの白内障手術を手掛ける、アイケアクリニック院長の佐藤香氏が、白内障治療に関する疑問を、Q&A方式でわかりやすく解説します。

手術自体は可能なのに、医師本位の理由で断られる患者

Q:ある眼科で白内障の手術を受けようとしたのですが、「昔、目にボールがぶつかるなどして、目を強く打ったことがありますか?」と聞かれ、「はい」と答えたら手術を断られました。どうしてでしょう? 目を強く打ったことがあると手術は受けられないのですか?

Aそんなことはありません。手術はできます。

まず、手術を断られた理由についてご説明します。

おそらく手術を断った医師は、目を強く打った経験があることで、「チン小帯が切れている可能性」を考慮し、「むずかしい手術になる」と考えたのではないかと思います。

●チン小帯が切れていると、手術のリスクが高くなる

チン小帯は水晶体を包む嚢(のう)を支える役割を果たしていますが、それが外傷によって傷つき、切れて弱っていることがあります。すると手術の際、水晶体が硝子体に落ちてしまい、手術の難度が上がってしまうのです。

チン小帯が切れている場合でも、水晶体が硝子体に落ちないよう、CTR(水晶体嚢拡張リング)を使えば手術は可能です。

CTRがあることを知っていて、使いこなしている医師を見つけて、手術を受けていただければと思います。

また、チン小帯が切れている範囲が多い場合、白内障の手術の際、少し触れただけでも水晶体が袋ごと目の奥にある硝子体に落ちるなどのリスクがあります。

すると硝子体の手術をしなければならなくなりますが、眼科の専門領域が細分化されている今、「白内障の手術はできても、硝子体の手術はできない医師」が多くいるというのが現状です。

おそらくその医師も、硝子体の手術経験がないために、そのような事態が起こったときのことを考えて断ったのではないでしょうか。そのため、硝子体手術が可能な医師であれば、問題なく手術は行えます。

Q:数年前に、目を切って縫う治療をしていますが、白内障手術ができないというのは本当でしょうか?

Aできないことはありません。

ただし、目の外傷を負った患者さんの手術と同様、目に切開創などの傷があると手術のリスクは高くなります。

目に切開創があるということは、目の内容物が一度外に出ている可能性があるということです。その内容物を元に戻して縫い合わせているため、再度、手術で目を切った際に合併症が起こりやすいのです。そのため、医師が及び腰になっているということでしょう。

目を切って縫う治療をしていても、白内障手術はできる

目を切って縫う治療をしていても、白内障手術はできる

目はとても繊細な器官です。たとえば、腕や足などに縫わなくてはならないような切り傷ができたとしても、傷が癒えればその後に影響が及ぶことはまずありません。「なかったもの」としてしまうことができます。

ところがこと目の傷に関しては、たとえ治ったとしても「なかったもの」にはできません。なんらかの形で影響を及ぼします。

白内障の手術を受けたい場合は、さまざまなリスクに対応できる評判のよい医師を選ぶことが大切です。

【白内障ってなに? 手術件数月間300件の熟練ドクターがわかりやすく解説!】

認知症でも、身動きのリスクがなければ手術可能

Q:母が認知症なのですが、白内障のようです。手術を受けることはできますか?

A白内障手術を行っている全国の医療機関を見ると、残念ながら認知症の患者さんの手術を「一律お断り」としている眼科が多いようです。

手術中にじっとしていることができないと、合併症を引き起こす危険性が高くなり、通常の局所麻酔ではなく全身麻酔で手術すると、患者さんの身体への負担が大きくなります。

特に高齢の患者さんの場合は大病院でも「全身麻酔はできない」と断られることがありますし、そもそも全身麻酔で手術を行ったことのない病院・クリニックが多いのもまた事実です。

しかし、認知症を発症されていても、重症度にもよりますが、手術中に暴れたりするのでなければ、何も問題はないのではないかと私は思っています。

かつて、私が白内障手術を担当した患者さんは、認知症の傾向のある85歳の女性でした。付き添いでいらした娘さんによると、唯一の楽しみのテレビを観なくなり、食事も箸をうまく使えないので「目がよく見えていないのかもしれない」と気づいたそうです。

検査をしてみると、かなり進行した白内障でした。私は患者さんの検査中・問診中の様子や娘さんのお話から「手術の間も動かずにいていただけそうだ」と判断し、ご家族の希望どおり、通常の点眼式の局部麻酔で手術に踏み切りました。

患者さんは翌日からの定期検診にも元気で通院され、「よく見えるようになりました」と笑顔でいってくださいました。手術を受ける前は、目がよく見えないことで生活が制限されていたようです。

高齢の方の場合、目の見え方が認知症の進行と深い関わりがあるとされています。身近な方が患者さんの日常の様子に注意を払い、「よく見えていないのでは?」と感じたら眼科を受診してみることをおすすめします。

手術や治療に応じてくれる眼科はまだ少ないかもしれませんが、この患者さんのように、通常の方法で問題なく治療を受けられる方も多いはずです。

佐藤 香

アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長

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June 16, 2020 at 03:04AM
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