新型コロナによって引き起こされつつある経済ショックに対して、各国で経済対策が実行されつつあります。日本では、給付金の支給も検討されているようですが、消費税減税も根強い支持があります。
どんな経済活動にも「ノーフリーランチの原則」が当てはまるわけでして、当然、経済対策にもコストが伴います。しかも、そのコストは世代や所得によって効果が異なるのも事実です。つまり、同じ政策によっても、得をする人もいれば損をする人もいますし、より多くの得を得られる人もいれば思ったほど得を得られない人も出てくるのです。
そうした政策のコストを、所得階層別・世代別でどのように負担しているのかを可視化してくれるのが、所得階層別世代会計です。
本記事では、(1)直接家計に対する経済対策を行わないケース、(2)消費税率5%減税するケース、(3)一律に給付金を支給するケースの3ケースについて、考えてみます。
具体的には、消費税率5%は、2020年度の政府予算案を前提に考えると、消費税収が21兆7190億円と見積もられていますから、その半分の10兆8600億円の減税規模となります。
条件を同じにしないと、正確な比較ができませんから、給付金に関しても消費税減税の規模と同じ10兆8600億円を原資として、すべての国民に一律にばらまくものとします。2020年1月現在の日本人は総務省「住民基本台帳」によれば1億2477万6364人ですから、国民一人当たり8.7万円貰えることになります。
なお、消費税減税にしても、一律の給付金支給にしても、1年の時限措置とします。
試算結果は、表1のようになります(単位はすべて万円)。
消費税減税も、一律の給付金支給も、今現在生きている人たちには恩恵が及びますが、そのツケはこれから生まれてくる子や孫が背負うことになります。また、高齢世代では給付金の支給の方が消費税減税よりも得になりますが、勤労世代では消費税減税の方が給付金支給を上回ることになります。ただし、勤労世代でも子育て中であれば、子供の給付金も貰えますから、消費税減税を上回ることになるでしょう。
表1は各世代の平均的な姿でした。以下では、所得階層別の効果を見てみたいと思います。
表2は、低所得階層の比較です。
これによれば、低所得階層はそもそも消費水準が低いため一律の給付金が世代問わず望ましいことが分かります。
次に、表3から表4は、低中所得階層(表3)と中所得階層(表4)の試算結果です。
これらの階層では、先に表1で見た平均的な姿と実質的には同じで、高齢世代や勤労世代でも子育て中であれば給付金が得で、子供のいないもしくは子育てが終わった勤労世代では消費税減税が望ましいことになります。
さらに、表5から表6は、中高所得階層(表5)と高所得階層(表6)の試算結果です。
これらの階層では、勤労世代ではやはり子育て中であれば給付金支給が得になりますが、その徳の幅はそれほど大きくはなく、また、高齢世代も他の所得階層よりは消費水準が高いので、給付金支給よりも消費税減税が望ましくなります。
このように、消費税減税が得になるか、給付金の支給が得になるかは、その人が置かれた所得水準やライフステージに依存することが分かります。つまり、誰もが納得する所得支持策はないのです。
強いて言えば、低所得層や子育て世帯の生活底上げを目指すのであれば給付金の支給が望ましく、景気の底上げを目指すのであれば高所得階層に有利な消費税減税が望ましい、ということになるでしょうか。
蛇足ながら付け加えれば、金持ちに給付金を渡すぐらいなら消費税減税の方が望ましいという意見も一部に見られますが、実際には消費税減税の方がお金持ち有利な政策であるということが明らかになります。
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March 19, 2020 at 12:45PM
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新型コロナ経済ショックにおいて、生活下支えなら給付金、景気浮揚なら消費税減税が望ましい(島澤諭) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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