未知の課題を素早く解くためのアプローチ
さまざまな方法を試すことで最善の手立てが見つかるかもしれない(撮影:尾形 文繁)
私がコンサルティングファームに入社して7年目ぐらい、ちょうど中堅プレイヤーとしての力がついてきた頃にグローバルなトレーニングに参加することになって、そのときに経験したエピソードからお話させていただきます。
コンサルティングチームを率いる技術のトレーニングを7人ほどの少人数で受講していたときに出された奇妙な課題がありました。20分の制限時間の中で「ある条件を満たす3つの整数を探しなさい。ただしトレーニングなのでパソコンを使わず、ホワイトボードだけ使って全員で答えを探しなさい」という頭の体操のような問題でした。
それでひとつだけ条件があって「20分以内にその数字を入力しないとテロリストが設置した爆弾が作動するので、とにかく20分でその数字を見つけなければいけない」とルールが設定されていて、確かイギリス人の同僚がリーダーになって7人でこの問題を解きはじめたのです。
結果を先に言うと、わたしたちのチームは見事に失敗しました。教官が「はい。今、テロリストの爆弾が爆発しました」と課題の終了を宣言したのです。そのあとでトレーニングの種明かしがあったのですが、この問題は見た目が簡単そうで、論理で考えると答えが出そうにも見えるのですが、実はしらみつぶしに3つの数字を当てはめていかないと本当の答えにはならない、わざとそういった問題を出題したとのことでした。
未知の課題に取り組む場合には?
このときのトレーニングのポイントは「7人いるのだから、リーダーが最初の段階でそれを3つぐらいのチームに分けて、①独力で解けそうな数学に自信のある人をふたりぐらい、②チームでディスカッションしながらひらめきで答えを探すチームを3人ぐらい、③バックアップのためにしらみつぶしに計算をする担当をふたりぐらいという形で分業させる」ことを学ばせることでした。
そのうえで実は①でも②でも解けないことがわかったときに時間切れにならずに③のバックアップメンバーが答えにたどり着くということができたチームだけがクリアできる問題なのだというのです。世界中から集まったベテランコンサルタントの集団で、この問題がクリアできたのは2割以下というお寒い結果でした。
チームマネジメントのトレーニングとしては、未知の課題に答えを出すために、担当を割り振ってそれぞれの担当が成功したときだけ全体も成功するような分担のさせ方は脆いのだというのが重要な教えでした。そしてコンサルタントが関わる経営課題にはそのように難しい課題のほうが多いので、この技術を身につけないと「チームマネジメントで必ず失敗するよ」と教えられたのです。
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March 16, 2020 at 01:30PM
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コロナ対応「全国一律」が有効策とは言えない訳 - 東洋経済オンライン
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