念入りに洗車をおこない、ピカピカに磨き上げた愛車。輝くボディは見ていてとても気持ちのよいものですが、そんな愛車を汚す存在があります。雨、泥、黄砂、そしてなにより……鳥のフン!
鳥も生き物である以上排泄は仕方のないことですが、いまいましいことに鳥のなかには車に狙い撃ちでフンをしていく邪悪なものもいます。鳥たちが何を思って車にフンをしていくか、気になったことはありませんか?
本コラムでは、車が鳥のフンまみれになる理由や、愛車を守る鳥のフン対策、すでに付着してしまった鳥のフンの落とし方などをご紹介します。
なんでわざわざ車にするの!?鳥が車にフンをしやすい理由
愛車に鳥のフン対策をほどこすためには、まず鳥がなぜ車にフンをしていくのかを考えるところから始めましょう。
一般的に、鳥は体重を軽く保つために便意を我慢しません。巣の中にいるときは巣のすぐ外にしますし、どこかに留まって休んだりエサを食べているときは、飛び立つ直前にフンをして少しでも身体を軽くしてから飛んでいくことが多いのです。
これはつまり、鳥にフンをよくされる場所というのは、すなわち鳥がよく留まる場所だということを意味しています。愛車にやたらとフンをされる理由は、愛車の上に鳥がよく留まりにくるためなのです。
すると今度は、そもそもなぜ車に鳥が留まりやすいのかという点が気になってくるでしょう。
ほかにも留まれそうな場所はいくらでもあるのに、そのなかからわざわざ車に寄ってくるからには何か理由があるはずです。
車に鳥が寄ってきやすい理由としては、以下の3つが考えられます。
①縄張りに侵入した「外敵」だと勘違いしている
鳥には非常に縄張り意識の強いものが多く、そうした鳥は自分のテリトリーに入ってきたものに対して激しい攻撃性を示します。
家の駐車場などが鳥の縄張りになっていると、日常的に出入りする車は「縄張りに何度も侵入してくるほかの鳥」だと認識されてしまうのです。
この傾向は、車の色が灰色や白、黒の場合にとくに多く表れます。これらの色は鳥の体色に近いため、鳥にとってより同種の鳥だと思われやすいというわけなのです。
サイズがあまりに違いすぎるためイメージしづらいですが、鳥は車を自分の縄張りから追い出すためにやってきて威嚇し、フンを落としていきます。
また、車の色が同系統でなくても、窓ガラスやサイドミラー、磨き上げられたボディに映った「自分の姿」を別の鳥だと勘違いして攻撃してくるケースもあります。
ほとんどの鳥は鏡に映る自分の姿を自分だと認識する「鏡像認知」という能力をもちません。ちょうど自分と同じ大きさの鳥が縄張りに居るように見えてしまうわけです。
②キラキラ光るものに興味を惹かれている
カラスに光り物を集める習性があるのは広く知られていることですが、同様にこの習性はほかの鳥にもあります。なぜこの習性を鳥類が持っているのかというと、水面のような乱反射は、鳥にとって生活に必要な水場を探す手がかりとなるからです。
こうした性質から、窓ガラスやボディがキラキラ光る車を見つけると、鳥たちは水を飲むために近寄ってくるのかもしれません。ピカピカに磨き上げた車ほど光を乱反射し、鳥に狙われやすくなるので、車に鳥のフン対策をほどこしておく必要があるでしょう。
③マーキングをしなおしている
多くの野生動物がフンや排泄物を置いて縄張りを示すマーキング行為をするように、鳥のフンにも縄張りを主張する意味合いがあります。何度車を洗っても同じ場所にフンを頻繁にされてしまう場合、鳥がマーキングをしなおしているのかもしれません。
前述のとおり鳥は車のガラスやボディに映った自分の姿を別の鳥だと思っているため、鳥にとってはマーキングした場所にほかの鳥が現れたように感じられることでしょう。そしてその鳥を追い出すために、再度マーキングをしに来るというわけです。
汚れるだけじゃない?鳥のフンが車にもたらすトラブルとは
鳥のフンが車にもたらす害は、汚れや臭いだけではありません。鳥のフンまみれになってしまった車は見た目が悪くなることはもちろん、鳥のフンはボディを劣化させる原因となることもあるのです。
鳥は歯をもたないため、エサとなる木の実や昆虫を丸のみして食べています。エサを丸ごと消化できる強力な消化液はフンにも含まれているため、鳥のフンは強力な酸性やアルカリ性を示す傾向にあるのです。
酸性もアルカリ性も、強力なものは車の塗装を侵食する性質が出てきます。ボディに鳥のフンが付着し続けている、ということは強い酸性やアルカリ性のパックをされているのと同じ状態。次第に塗装へ穴が空いてしまいます。
塗装はボディの板金のサビ止めを兼ねているため、塗装に穴が空いているとそこからどんどんサビが広がって、やがてボディ全体をサビ付かせてしまうかもしれないのです。
こうした理由から、車についた鳥のフンをそのままにしておくことは避けるべきです。できるだけ早く取り除かなければなりませんし、新たにフンをされないよう、車に鳥のフン対策をほどこしておく必要があります。
とにかく厄介な鳥のフンをどうにかするために、まずはすでに付着してしまっている鳥のフンを綺麗にする方法から確認していきましょう。
乾く前に落とす!ふやかして落とす!車を汚す鳥のフン対策
愛車に付着してしまった鳥のフン。綺麗に落とすには、少しコツが必要になります。というのも、鳥のフンは時間が経つと硬質化し、非常に強固にこびりついてしまうため、ただ水をかけてこするだけでは取り除けない場合があるためです。
また、こびりついたフンを取るためにタワシなどで強くこすりすぎると、ボディの塗装を傷めてしまう原因にもなります。汚れを取るためにボディを傷めてしまっては本末転倒なので、力を入れずともフンを落とせる方法を考えていきましょう。
以下に、鳥のフンの掃除方法をご紹介します。
①乾いて固まる前に落とす
もっとも簡単な掃除方法は、鳥のフンが乾いて固まってしまう前にふき取ってしまうことです。排泄されたてほやほやの鳥のフンは液状なので、雑巾やティッシュペーパーで拭うことで容易に取り除けます。
したがって、愛車を汚す鳥のフン対策においてなによりも優先したいのが、鳥のフンを早期に発見することだといえるでしょう。付着してしまったフンを、すぐに見つけることができれば、掃除は非常に簡単になります。
気象条件や気温によって前後しますが、鳥のフンは付着してから大体1日程度で固まります。車にティッシュペーパーを積んでおき、乗り降りする前にボディにフンがついていないか点検するだけでも、厄介な鳥のフンを早期に処理することができるのです。
②固まったフンはふやかして落とす
しばらく乗っていなかった車など、発見が遅れてカチカチに固まってしまった鳥のフンを取り除くには、まずフンをやわらかくする必要があります。乾燥したフンは水分を与えることで再び液状化するので、濡らした雑巾などを使ってふやかしてしまいましょう。
付着してから1日程度の半生状態のフンであれば、水をたっぷり含ませたぞうきんやキッチンペーパーなどを使って落とすことができます。一方数日以上が経過して完全に乾燥している場合、フンをふやかす一手間が必要です。濡らしたぞうきんを電子レンジで温める、沸かしたお湯でぞうきんを濡らすなどして、まずは蒸しタオルをつくりましょう。蒸しタオルが用意できたらボディについたフンの上から被せて30分ほど置いておき、十分にフンがふやけたらそのまま蒸しタオルで拭い取れば掃除完了です。
③雨の日に洗車する
蒸しタオルを用意するのが手間……という方向けの裏ワザがあります。それは、雨の日に洗車を行うことです。
わざわざ雨の中洗車をするのは二度手間のようにも思えますが、ボディを流れ落ちる雨水と、空気中に含まれる湿気が固まった鳥のフンをふやかす水分となるため、鳥のフンを落とすだけなら雨の日のほうが都合がよいとされています。
雨が降り始めてから1時間程度経ったあとに外に出て、鳥のフンを濡れ雑巾で拭いてみましょう。あれだけカチカチに固まっていた鳥のフンが、おどろくほど綺麗に落とせるはずです。
フンをされてしまう前に!車を守る鳥のフン対策
すでに付着している鳥のフンを取り除き終えたら、今度はこれ以上車が汚されないように、車を守る鳥のフン対策を考えていきましょう。そもそも鳥にフンをされないためには、どのような対策が必要でしょうか。以下に、個人でとれる対策をご紹介します。
①車にカバーを取り付ける
まず間違いなく高い効果を発揮できるのは、物理的に鳥のフンから車を防御する方法です。車をカバーで覆ってしまえば、強風などでカバーがめくれない限り確実に鳥のフンを防げます。
雨や泥、砂などのほかの汚れからもボディを守れるため、カバーを取り付ける方法は非常におすすめです。ただ、頻繁に車を使う方は毎回カバーを付けはずしするのは手間かもしれません。
いちいちカバーを被せてなんていられない!という場合は、別のフン対策を考えましょう。
②サイドミラーをたたむ
非常にお手軽な車の鳥のフン対策としては、車を降りる際にサイドミラーをたたんでおく方法が挙げられます。車のミラーは光を反射し、鳥の姿を映すため、縄張り意識の高い鳥の攻撃対象となりやすい場所です。
ミラーをたたんでおく、あるいはミラーに不透明なカバーを付けておくことで、ミラーが原因となって鳥にフンをされる可能性を大きく減らすことができるでしょう。車全体にカバーをかけるよりもずっと手間を省けるという点でもおすすめできます。
③車の周囲に鳥よけグッズを設置する
駐車場など特定の場所に車を停めることが多い場合、そこに鳥が近寄らないようにする対策が有効となります。鳥がいなければフンをされることもないため、鳥のフン対策=鳥よけ対策です。
鳥が寄ってこないようにするには、古典的なCDを吊るす方法や、カカシのように鳥を威嚇する人形を設置する、鳥よけの磁石を置いておくなどの方法が挙げられます。
鳥よけグッズはホームセンターなどで手軽に購入できるため、駐車場にされるフンにお悩みの場合には試してみてもよいかもしれません。
④電力会社に鳥よけを依頼する
車を停める場所の近くに電柱や電線があり、そこが鳥の溜まり場になっていると、地上はあっという間にフンまみれになってしまいます。鳥のフン被害が深刻な場合、その電柱を管理している電力会社に連絡すると、鳥よけネットなどの対策を電柱にほどこしてくれる場合があります。
⑤害鳥駆除業者に相談する
自分で鳥よけ対策をおこなってもなかなか効果が出ないときは、害鳥駆除の専門業者に依頼することも手段のひとつです。鳥の習性を熟知したプロの技術で、車の周囲から鳥を追い出してしまいましょう。
まとめ
鳥のフンは車の見た目をそこなうだけでなく、強い酸性やアルカリ性をもっているため車の塗装や板金を傷める原因にもなります。鳥のフンは放置せず、できるだけ早めに取り除くようにしましょう。
あまりにも頻繁に車が鳥のフンで汚される場合、何かしらの原因で車に鳥が寄ってきやすい状態になっているかもしれません。
愛車を守る鳥のフン対策は、鳥の性質の把握と原因の特定からはじまります。愛車が狙われる理由を考え、適切な対処をほどこしましょう。
ハトの被害にお悩みの方は「生活110番」にご相談ください。
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March 31, 2020 at 09:43AM
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