第76回びわ湖毎日マラソン(日本陸上競技連盟、毎日新聞社など主催、住友電工特別協賛)は28日、大津市の皇子山陸上競技場を発着点とするコースで行われ、鈴木健吾(25)=富士通=が2時間4分56秒の日本新記録で優勝した。
動揺しかねない場面で「行くしかない」
思わぬアクシデントが、快記録へのゴーサインになった。
36キロ過ぎの給水ポイント。サイモン・カリウキ(戸上電機製作所)、土方英和(Honda)と三つどもえの先頭集団を形成していた鈴木は「給水を取り損ねた」。動揺しかねない場面で、覚悟を決めた。「行くしかない。周り選手の表情を見てもいけると思った」
ひるむことなく一気にスパート。前回大会は30キロ過ぎで失速したが、36キロからの1キロを3分を切るペースに切り替えると、後続の姿は遠のいていった。
愛媛県宇和島市出身。小学6年で陸上を始め、宇和島東高3年で出場した全国高校総体5000メートルで10位に入った。「箱根駅伝を走りたくて」進学した神奈川大では4年連続で箱根路を走り、3年で2区区間賞。4年時には、マラソン初挑戦の東京マラソンで2時間10分21秒と健闘した。
だが、2018年に富士通に入社すると相次ぐ故障に悩まされた。初マラソンの疲れが抜けきらないまま、実業団のハイレベルな練習に取り組んだことで、ひざや股関節などを次々と痛めてしまった。改めて地道に体幹を強化して体のケアにも気を配った。「(富士通の)福嶋監督からチャンスをもらった」という19年4月のハンブルク・マラソンで2時間11分36秒をマークし、復調した。3度目のマラソンだった東京オリンピック代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」は7位だった。
12位だった昨年の借りを返すべく臨んだ「最後のびわ湖」。「正直、一番自分がびっくりしている」と笑顔にあふれた25歳が、日本の男子マラソンの歴史を大きく塗り替えた。【石川裕士】
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