コロナにかき回された1年だったね。Jリーグは、自らアスリートファーストではないことを証明した。5人交代などの工夫はあったが、夏場に中2日、中3日の試合が続くのは、とても選手の観点からは許し難い。どうみてもスポンサーありきの判断だ。最大の犠牲クラブは、ACL出場組の横浜F・マリノス、FC東京、ヴィッセル神戸だ。どのチームも無理なリーグ戦の日程が組まれ、来季のACLに出場できる順位を確保できなかった。
ほとんどのクラブが財政的に厳しくなった。この財政難は、来季も続くだろう。その中で横浜FCや大分トリニータ、サガン鳥栖など小規模クラブは、若手を中心にチームを編成した。年俸の高い選手、外国人を放出して、比較的に年俸の安い若手にチャンスを与えた。試合経験は増えたが、チーム内競争に勝ってチャンスを得たわけじゃないから、個人の競技力が上がったか、選手層が厚くなったかは未知数だね。
川崎フロンターレの三笘が13得点と、素晴らしい結果を出した。世界基準だと、23歳で新人王になると、笑われるかもしれないが、Jなら大卒だから違和感がない。要するに、日本は世界に比べ成長時計が遅い。さらに日本人は継続が苦手だ。昨季、得点王とMVPの横浜FW仲川は、今季完全に消えていた。三笘はリーグ戦で代表で久保と競っても遜色ない動きをみせた。ぜひ来季も続けてほしいね。
今季、J1で最も印象的な試合は、最終節の鹿島アントラーズ-セレッソ大阪。お互い、ACL出場の可能性を残していたため、必死さが伝わった。何かを懸けた時の戦いは面白い。来季は4チームが降格する。コロナのせいで、20チームの変則シーズンになったが、残留を懸けた戦いは例年よりヒートアップするはず。今季は「コロナだから」で許される部分はあった。しかし来季は、同じ言い訳はできないよ。(日刊スポーツ評論家)
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