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Sunday, May 10, 2020

コロナ禍 気を吐く「怪鳥」 医療品詰め往来 世界最大の貨物機:国際(TOKYO Web) - 東京新聞

ウクライナの怪鳥とも呼ばれるアントノフAn225「ムリーヤ」=いずれもアントノフ社提供

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 新型コロナウイルスが猛威を振るう中、脚光を浴びる貨物機がある。ウクライナで旧ソ連時代に造られた世界最大の航空機アントノフAn225。巨大な貨物室に医療品を詰め込み、四月からユーラシア大陸を行ったり来たり。不遇な生い立ちにもめげず、疫病に苦しむ人々の支援で気を吐いている。 (モスクワ・小柳悠志)

 An225の愛称は「ムリーヤ(希望/夢)」。完成機は世界で一機しかなく、目撃の機会も少ないことから「怪鳥」とも呼ばれる。

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 全長八十四メートル、エンジンは六発。搭載可能な貨物量は米ボーイング社の貨物機「ドリームリフター」の約二倍、二百五十トンに及ぶ。機動性にも優れ、航空機ファンに雄姿を見せようと着陸前に旋回したりもする。

 ロシアの航空評論家ニコライ・ヤクボビッチさん(72)は「ムリーヤは本来、宇宙開発において存在意義があった」と明かす。

 ムリーヤがウクライナで完成したのは冷戦中の一九八八年。開発中のソ連版スペースシャトル「ブラン」を機体上部に載せ、発射基地まで運ぶよう設計された。当時のソ連は「大きいことはいいことだ」とばかりにムリーヤのPRに前のめり。宇宙の覇権争いでも米国と火花を散らしていた。

 だがソ連崩壊でスペースシャトル計画は頓挫し、その他の貨物輸送も激減。ムリーヤは任務を失い「糸の切れたたこ」のように。

 不運な出自とはいえ、巨体が注目されなかったわけではない。地震など社会危機に見舞われた国々に大量の救援物資を運ぶときは力を発揮した。二〇一〇年のハイチ大地震では日本の自衛隊が、翌年の東日本大震災では仏政府が被災地支援のためチャーターし、日本にも縁がある。

 一年余りのメンテナンスを終えたこの春、ムリーヤに出番が回ってきた。声を掛けたのは各国に新型コロナの医療支援物資を送ろうとしていた中国だ。

 中国からの行き先はポーランド、フランスなど。ウクライナにも四月下旬、マスク百二十万枚、防護ゴーグル二十六万個、防護服十万枚など計百三トンを運んだ。引き続き支援物資を運ぶ計画がある。これまで飛行回数は年間平均二十回ほどだったが、今年は翼を休める日が少なくなりそうだ。

 アントノフ広報のエレナさんは「ムリーヤは航空機の歴史における一つの到達点。災禍に襲われた人々にとっては希望の翼で、ウクライナ国民の誇りだ」と語る。

宇宙船「ブラン」を背負った旧ソ連時代のムリーヤ

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◆未完の2号機 ロシアと対立の象徴

 ウクライナ・アントノフ社のムリーヤは冷戦後の地政学的な変化に翻弄(ほんろう)されてきた。ウクライナとロシアの険悪な関係が続く中、経営難のアントノフ社を中国が助けるとの見方もある。

 ムリーヤは運用されている1号機のほか、未完成のままで20年余り工場に留め置かれた2号機がある。2014年に親欧米路線に傾いたウクライナがロシアと対立を深めたことが、製造が進まない原因だ。

 アントノフ社はソ連時代からウクライナとロシア各地に関連メーカーや工場があったが、両国の関係悪化で製造工程に混乱が生じ、技術者も分断された。未完の2号機はソ連崩壊による経済混乱の象徴とされる。

 アントノフ社は2号機製造の資金を得るべく、中国の航空機メーカーとの提携を検討している。

 中国にとっても商用・軍事用の超大型機製造の知見を得られる利点があり、今後の行方が注目される。

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