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Friday, March 6, 2020

【ちょっと閲覧注意】シベリアで昨日まで生きてたみたいな鳥の死体、4万6000年前の化石だった - ギズモード・ジャパン

冷凍保存が完ぺきすぎて、ある意味不死鳥。

2018年夏、メイン大学の気候科学准教授・Jacquelyn Gill氏がシベリアの永久凍土でのフィールドワークを開始したその日、現地の化石ハンターが鳥の死体を手にやってきました。化石ハンター氏は何かを訴えていたのですが、そのときまだ通訳が到着しておらず、Gill氏はその鳥をただの死んだ鳥としか思いませんでした。私たちがはるばるシベリアの奥地までやってきたのは氷河時代の遺物の研究のためであって、現代の鳥には興味ないんですけど…? とGill氏は思っていたことでしょうが、化石ハンター氏は引き下がりませんでした。

非常に保存状態のよい古代の鳥の化石

やがて通訳がやってきて、化石ハンター氏の主張をGill氏に伝えました。いわく「その鳥の死体は古代の化石で、後期更新世の永久凍土の堆積物からは初めて発掘された鳥だ」ということだったんです。

「この鳥は氷河時代から旅してきて、私はそれに触れられるんです」Gill氏は発見の喜びを語りました。

発掘場所はシベリアのはずれ、ベラヤ・ゴラからさらに30kmほど東の亜寒帯林の中で、そこはもう北極圏内です。この地域では、マンモスの牙やサイの角をねらう化石ハンターたちが、消防用ホースを使って無数のトンネルを掘っています。今は世界的に象牙の取引が禁止されているので、生身の象がダメなら大昔に死んだ動物の牙とか使えばいいじゃない、とばかりに化石ハンターが集って発掘に躍起になっているんです。

見つかったのは4万6000年前のハマヒバリの一種

でも彼らが発掘するのは必ずしも象牙の代替素材だけじゃなく、マンモスから古代馬、絶滅したオオカミの頭まで、古生物学的には宝ともいえる氷河時代のさまざまな遺物が出てきています。Gill氏らが手に入れたのは4万6000年前のメスのハマヒバリの一種で、現代でも北半球にたくさんいる鳥ですが、レアじゃないからって価値が低いってことにはなりません。Gill氏らが発表した論文によれば、この鳥は現代とは大きく違うシベリアの生態系を知る手がかりになります。

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赤い点が今回の発掘場所。
Image: Dussex et al (Nature Communications Biology (2020))

化石ハンターたちはGill氏の訪問に先立ち、彼らがちゃんと法的な許可のうえで発掘したお宝を見せるべく、研究者たちを招待していました。この鳥の化石は、ハンターのひとりがトンネルを入って150メートルほど、地下7メートルほどの場所で発見したそうです。研究チームは鳥の化石をスウェーデンのストックホルムにある古遺伝学センターの研究室に持ち帰り、放射性炭素年代測定を行って、さらにゲノムを解読しました。鳥の保存状態のよさには、研究チームも衝撃を受けていました。

「こういう標本はすごく壊れやすいんです」論文の主著者である古遺伝学センターのNicolas Dussex氏は語ります。鳥の骨は薄く軽く、長い歴史の間に些細な衝撃でも壊れてしまう可能性があったはずですが、それでもこの鳥は完全に近い状態を保っていました。「見ようと思えば、胃の内容物まで調べることができました。まるで巨大な冷凍庫に入っていって、4万5000年間保存されていたものを発見したような感覚でした」

鳥の化石を調べれば当時の環境もわかる

鳥の状態を知ることで、古代シベリアの環境もより理解できます。現代のハマヒバリは広くオープンな環境を好み、広大な農場やビーチ、空港などでよく見られています。またこの鳥の存在は、同じ洞窟から発見されたバイソンや馬、マンモスといった化石の存在とも符合していて、この地域が当時ずっとツンドラとステップの混在する環境にあったことの裏付けになります。

「最後の氷河時代から、生態系にはものすごい変化がありました」Gill氏は言います。生息地がなくなることは種の喪失を意味します。この洞窟で見つかった動物たちも、最後の氷河期が終わるとともに大型哺乳類は絶滅し、この地域の生態系で重要な役割を果たしていた大型草食動物もいなくなりました。こうした生態系の変化は、さらなる種の絶滅につながったと考えられます。

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ニューヨークの空港で、使われなくなった滑走路にたたずむハマヒバリ。
Image: Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US

DNA分析の結果、現在生息するハマヒバリの祖先だった

それでもハマヒバリは、この地域の変化を生き抜いたのです。遺伝子分析により、この鳥は今いる2種類のハマヒバリの祖先だったと判定されました。2種類のうちひとつは北欧地域やロシア北部に分布するもの、もうひとつはモンゴルやカザフスタン、中国に生息するものです。この鳥はおそらく、その両方の直接の祖先だったのでしょう。「希少な種だけが面白いわけではありません。気候変動というチャレンジを生き延びた事実は注目に値します」とGill氏。

最後の氷河時代を生き延びたストーリーを考えることは、現代のエコロジストにとっても重要です。「氷河時代のハマヒバリとそのひ孫のヒバリを比較することで、我々はそこに通じるものが何かを知ることができます。誰がどうして生き延びられるのか、現在の加速する気候変動に向かうなかで種を救えるとしたらどうすればいいのか、といったことをより理解するために役立つはずです」とGill氏は言います。

Gill氏のチームはこの化石の研究を続け、ハマヒバリがDNAの変異をどう蓄積していったのかを解明し、それによって進化全体への理解を深めたいとしています。古代の象牙に対する需要はまだまだ続くと思われ、ということは化石ハンターによるお宝発掘も引き続き期待できそうですね。

Source: Nature Communications Biology

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March 06, 2020 at 09:00PM
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