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Sunday, February 16, 2020

<書評>鳥と人、交わりの文化誌:どうしん電子版(北海道新聞) - 北海道新聞

細川博昭著

種の絶滅の原因 全て人の側に
評 中川元(知床自然大学院設立財団理事)

 「鳥が好き」、「鳥に興味がある」、そんな人が多いのはなぜだろう。鳥は他の生物と比べて多様な要素を持つからではないか。美しい姿や声、空を飛び水に潜るといった目立つ行動、これらはもちろんだが、鳥の多様さは、人との関わりの多様さでもあることに本書を読んで気づかされた。

 この本は、人と鳥との関わりについて「文化」の視点から詳しく紹介し、歴史的に考察した労作である。遺跡から出土した骨からわかった古代人と鳥との関係、神話に登場する鳥、詩歌や文様の中の鳥、音楽へ与えた影響、命名の由来など、多岐にわたる人と鳥との関わりがつづられる。そして、狩猟や飼育の歴史、貴重な食糧として、温かな羽毛として、人が積極的に利用し恩恵を得てきた経過が詳しく語られる。

 「地上から消えた鳥」の章では、絶滅した鳥とその理由が解説される。種の絶滅の原因は全て人の側にあるといってよい。羽毛採取や食肉のための乱獲、生息環境の破壊、移入された動物の影響、圧倒的な人の力の前にわずかな年月で絶滅した鳥類は少なくない。かろうじて絶滅を免れても、わずかな個体が人の管理下で生きながらえればよいわけではない。自然の中でその種本来の生活が営まれることが重要だ。

 本書でも紹介される欧州北部に分布するホンケワタガモは「毛綿鴨」の名の通り豊富な綿羽を持ち、自ら胸の綿羽を抜き取って巣の内部を覆い繁殖する。アイスランドやノルウェーの繁殖地で行われている羽毛採取は、繁殖が終わった巣から羽毛が慎重に集められる。古くから繁殖コロニーは保護され、厳正な管理の下で採取されるこの羽毛は、世界最高級のダウンとして知られている。地域の伝統的産業として長く続いてきたのだ。土地の人たちは「隣人」でもあるホンケワタガモを大切に守り、共存してきた。

 今、各地で野生動物と人とを巡るさまざまな問題が起きている。真の共生とは何か。人と鳥との交わりの長い歴史を知ることで解決の手掛かりが得られるかもしれない。(春秋社 2200円)

<略歴>
ほそかわ・ひろあき 1961年生まれ。作家、サイエンス・ライター。著書に「鳥が好きすぎて、すみません」など

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